よくわかる相続の基礎知識回答

相続とは?

相続とは、亡くなった人の財産関係などの法律上の地位を、妻や子供などの相続人が受け継ぐことをいいます。

亡くなった方を「被相続人」、地位を承継するを「相続人」といいます。

承継される財産とは?

被相続人が亡くなった時から、相続人は、下記のような一切の権利義務を承継します。


①所有権などの財産上の権利
②預貯金、貸付金、損害賠償請求権などの債権
③契約上の地位
④訴訟上の地位
⑤株主の地位
⑥借家権
⑦借金、保証債務(債務・負債)

 
[相続財産でないもの]
①死亡保険金(生命保険金)
②死亡退職金
③墓地、墓石、仏壇などの祭具財産
③被相続の一身専属的なもの(扶養請求権、財産分与請求権、身元保証債務など)

相続財産に関する費用とは?

民法第885条では、「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。」と規定しています。

相続財産に関する費用としては、固定資産税・火災保険料・相続不動産の登記費用等遺産の保存のために必要な費用、修繕費、維持管理のための訴訟費用などがあります。 


相続税や葬式費用については、判例が分かれてますが、主流な考え方としては、

相続税:相続財産を取得した相続人個人が負担

葬式費用:喪主が負担(神戸家審平成11年4月30日

と解されております。

もちろん、相続人全員の合意で、平等に負担するのは差支えありません。

相続人の範囲及び法定相続分は?

区分 相続人 相続分
第1順位の相続人 配偶者


 
2分の1

2分の1
第2順位の相続人 配偶者

直系尊属(父母など)
3分の2

3分の1
第3順位の相続人 配偶者

兄弟姉妹
4分の3

4分の1

[第1順位の相続人について] 

子が既に死亡しているときは、その子の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。
これを、代襲相続と呼びます。
子が数人いるときは、相続分2分の1を頭数で割った相続分になります。

[第2順位の相続人について]
父母も祖父母もいるときは、死亡した人に近い父母が相続人なります。
第2順位の相続人は、第1順位の相続人がいないとき相続人になります。

[第3順位の相続人について]
兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
しかし、第1順位の時の様に孫は相続人になりません。
つまり、再代襲はないということです。
第3順位の相続人は、第1順位の相続人も第2順位の相続人もいないとき相続人になります。
兄弟姉妹がが数人いるときは、相続分4分の1を頭数で割った相続分になります。

[その他注意点]
1.相続を放棄した人は初めから相続人ではなくなります。
2.内縁関係の人は、相続人になれません。
3.養子、胎児も相続人になります。
 

遺言による指定相続分とは?

被相続人は、遺言によって、共同相続人の相続分を指定できると民法第902条に規定されております。

つまり、相続分を長男3分の2、二男3分の1という形式で定めることができます。

この場合、指定相続分が、法定相続分に優先します。

遺留分に反する相続分の指定も、当然無効ではありませんが、法定相続人による遺留分減殺請求によって、効力を失うことになります。
 

特別受益とは?

被相続人から婚姻、養子縁組のため、若しくは生計の資本として生前贈与や遺贈を受けている場合のその利益のことをいいます。

ある相続人だけが、被相続人から生前に多く贈与を受けているときは、その利益分を考慮してあげないと、他の相続人との間で不公平になってしまうため、それを修正するための制度です。 
特別受益の価額は、相続開始の時点を基準として評価します(最高裁判例昭和51年3月18日)。

具体例としては、
結婚資金、大学以上の教育費、留学費用、不動産の贈与などを生前に受けているケースです。

しかし、被相続人の生前の資産収入、社会的地位及び生活状況に照らして、通常の教育費であるという場合には、特別受益に該当しません。

したがって、個々の家庭ごとに特別受益に該当するかどうか検討する必要があります。

寄与分とは?

寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持または形成に特別の貢献した人がいる場合に、その相続人へに貢した分を相続分として与えることによって、不公平にならないように配慮した制度です。


具体例としては、
父親と一緒に家業に専念して、事業の発展に貢献した長男などが該当します。

寄与分の決め方は、まず、共同相続人間の話し合いで決めます。
しかし、話し合いで決まらない時は、寄与分者からの請求によって、家庭裁判所が決定します。 

[寄与分のポイント]
①妻の夫に対する看病は含まれない。
②内縁の妻にはない。

代襲相続とは?

代襲相続とは、相続人である子または兄弟姉妹が、死亡したり、欠格または廃除によって、相続権を失っているときに、その相続人の子が代わって相続することをいいます。


兄弟姉妹の場合には、代襲されるのは1回だけです。

代襲相続人の相続分は、本来相続すべきだった人と同じ相続分です。
代襲相続人が数人いる場合には、本来相続すべきだった人と同じ相続分を頭数で割った相続分になります。

相続の欠格、推定相続人の廃除とは?

[相続の欠格]

非人道的なことをした相続人の相続権を、法律上当然に剥奪する制度です(民法第891条で)。
 
なお、相続の欠格は、代襲原因にあたりますので、欠格者の子供が代襲相続することになります。
相続欠格事由は、生命侵害に係るもの遺言作成への不当な干渉とに分かれます。
個々の規定は以下のとおりです。

①故意に被相続人又は相続について先順位・同順位の相続人を殺害し、又は殺害しようとして、刑に処せられた者
 
② 被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者
但し、殺害者の配偶者等には例外あり。
 
③詐欺又は強迫によって、被相続人が遺言を作成したり、既存の遺言を取り消したり、変更したりすることを妨げた者     

④詐欺又は強迫によって、被相続人に遺言をさせたり、既にした遺言を取り消させたり、変更させたりした者

⑤遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

[推定相続人の廃除]
被相続人に対する虐待などをする相続人の相続権を、被相続人の意思によって剥奪する制度です。
遺言書で相続させなかったとしても、子供には遺留分がありますので、相続分を全て奪うことはできません。
 
こういう場合、廃除という制度を利用します。
廃除の方法は、
①家庭裁判所に相続人廃除の申立を行う。
②遺言書の中で廃除の意思を記載して、相続開始後、遺言執行者に廃除の申立てをしてもらう。

上記申立が認められれば、当該相続人の相続権を剥奪させることができます。

★廃除事由
①被相続人に対する虐待
②被相続人に対する重大な侮辱
③その他の著しい非行
 
なお、廃除の制度によって相続権を剥奪できるのは、遺留分を有する推定相続人だけです。
なぜなら、兄弟姉妹が推定相続人の場合には、この制度を適用するまでもなく、遺言書を作成して相続させないことができるからです。
また、廃除も欠格と同様に代襲原因にあたりますので、廃除された人の子供が代襲相続することになります。

相続分の譲渡とは?

相続人は、遺産分割前でも自己の相続分を、他の相続人又は第三者に自由に譲渡することができます。

この場合、個々の財産の共有持分ではなく、相続人の地位を譲渡することを意味します(民法905条)。

相続人間で協議がまとまらない場合、相続財産は欲しいが、遺産の争い巻き込まれたくない人もいます。
そういう場合、自己の相続分を他の相続人又は第三者に譲渡して、相続関係から離脱することができます。
 
[相続分譲渡後の法律関係]
相続分を第三者に譲渡した場合、その譲受人は、相続人と同じ地位で、遺産分割協議に参加することができます。
しかし、第三者が遺産分割協議に参加すると複雑な関係が生じますので、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還してその相続分の取り戻しを請求することができます。
請求できる期間は、譲渡されたときから1 ヶ月以内 です。
 
[相続分譲渡のポイント]
・他の共同相続人の同意は不要です。
・有償・無償を問いません。
・相続分譲渡証明書(印鑑証明書付)を作成します。
・共同相続人全員に配達証明付き内容証明郵便で相続分譲渡の通知をします。
相続債務を負担することになります。

遺産分割とは?

共同相続財産を、各相続人へ分配する手続きを、遺産分割 といいます。

遺産分割は、遺言によって財産の分配が定められていないときに、相続人全員の合意によって行います。
一部の相続人を除外した遺産分割は無効になります。

原則として、相続開始後いつでも遺産分割することができます。
遺産分割協議が成立すると、各相続人は、個々の財産を相続開始時にさかのぼって取得したことになります。これを、遺産分割の遡及効といいます。
 

遺産分割のやりなおしはできる?

一旦、成立した遺産分割協議でも、相続人全員の合意によりやりなおすことはできます(最高裁平成2年9月27日判決)。 


しかし、他の相続人が、約束した代償金などを払ってくれない事を理由として、一方的に、遺産分割を解除することはできません。
その場合には、訴訟などで、解決を図ることになります。

[税務上の注意点]
遺産分割を合意解除して再度遺産分割した場合、 税務上は、贈与と認定されて贈与税が課される可能性があります。 
したがって、民法上は可能でも、税務上の縛りがあるため、事実上できないということも実務上多いです。

遺産分割協議がまとまらないときは?

相続人間で、遺産の分け方や感情的な面で、遺産分割協議がまとまらないことはよくあります。

しかし、相続財産は相続人全員の合意がない限り、処分(不動産の売却や預貯金の分配など)をすることはできません。
このような場合、家庭裁判所の「調停」「審判」という制度を利用することを検討します。

[調 停]
調停の申立は、相続人のうちの1人または数名が、他の相続人全員を相手方として申立てます。
調停手続では、家庭裁判所が、当事者全員から意見を聴いて、それぞれどのような遺産の分け方を希望
しているかを把握し、解決のために必要な助言をしてくれたり、解決案を提示してくれます。

なお、調停手続きでも意見がまとまらないときは、調停は不成立となり、自動的に審判手続に移行します。
その後は、家事審判官が、各相続人の一切の事情を考慮してて、最終的に審判を出します。
最初から審判の申立てを行うこともできますが、家庭裁判所から調停にされることが多いのようです。

■申立先
相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所

■申立費用
被相続人1人につき、収入印紙1,200円分
郵便切手(申立てる家庭裁判所によって異なります。)
 
■添付書類
①被相続人の死亡から出生までさかのぼった戸籍謄本等
②相続人全員の戸籍謄本
③相続人全員の住民票又は戸籍の附票
④遺産の詳細が分かる資料(不動産登記事項証明書、固定資産税評価証明書、預貯金残高証明書又は通帳の写し、有価証券の写しなど)
 

相続を承認したものとみなされる場合は?

相続人は、民法で定める一定の行為をすると、相続を承認したものとみなされてしまいます(民法第921条)。
これを法定単純承認といいます。

具体的には以下の3つの行為が該当します。
①相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為などは除きます)
②相続人が自己のために相続開始を知った日から3ヶ月以内に、限定承認又は相続放棄をしなかったとき
③相続人が限定承認や相続放棄をした後であっても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、自分のために消費し、 相続財産と知りながら財産目録に記載しなかったとき

[法定単純承認事由に該当する事例]
・相続財産の売却
・預貯金を私的に使用
・相続財産から相続債務を弁済した場合


[法定単純承認事由に該当しない事例]

・身分相応の葬式費用の支出
・財産的価値のない衣類などの処分

・相続財産の無償貸付け
・経済的に重要性を欠くわずかな形見分け

限定承認とは?

限定承認とは、相続人が相続財産の限度でのみ、被相続人の債務と遺贈を弁済することを留保して相続を承認することをいいます(民法第922条)。


相続財産を調査してみないと、プラスの財産と借金などのマイナスの財産のどちらが多いのかが分からない場合、相続を単純承認してもいいのか不安になりますよね。
そういった場合、相続したプラスの財産の範囲内で、借金などのマイナスの財産を弁済する責任を負うのがこの限定承認です。
相続人が、自己の財産で借金を返済しなくてもよい点が単純承認と異なります。

 

しかし、限定承認は、共同相続人全員で家庭裁判所に申立てなければならない点や税務上のデメリットなどから実務上あまり利用されておりません。

[税法上のデメリット]
限定承認した場合、財産を時価で相続人に譲渡したとみなして、被相続人に譲渡所得税が課税されます(所得税法第59条)。これを「みなし譲渡所得課税」といいます。


そのため、購入したときより価値が上がっている土地などがある場合、限定承認をすると、被相続人に対して所得税がかかることになります。

なお、相続財産が現金・預貯金のみという場合には、譲渡所得税は課税されません。

相続人がいない場合はどうすればいいの?

亡くなった方に相続人がいるかどうか不明な場合があります。
そういう場合には、利害関係人などの請求によって、相続財産管理人が選任され、相続債権者へ債務を弁済したり、相続財産の分配手続きを行います。
具体的な流れは、下記のとおりです。
なお、相続人がいるかどうか不明な場合には、戸籍上相続人が存在しない場合のみならず、相続人全員が相続放棄した場合、又は相続欠格や推定相続人の廃除によって相続権を剥奪された場合も含みます。

①利害関係人などの請求によって、相続財産管理人を選任する。

②相続財産管理選任の公告(2ヶ月間)

③相続債権者捜索の公告(2ヶ月間)

④相続財産が残った場合は、相続人捜索の公告(6ヶ月間)

⑤相続人が現れない場合は、相続人捜索の公告期間満了の翌日から3か月間、特別縁故者へ財産分与の審判の申立てが可能

⑥家庭裁判所が審判の申立てを相当と認める時は、特別縁故者へ財産帰属。特別縁故者へ財産帰属しない時は、国庫に帰属
 

※特別縁故者とは、相続人ではありませんが、被相続人と生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者などで、被相続人と特別の関係にあった人のことです。内縁の妻などが該当します。
※相続財産が、共有財産の場合でも、特別縁故者への分与が優先します(最高裁平成元年11月24日判決)。

 

民法第255条  共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

遺贈・死因贈与とは?

[遺 贈]
遺贈とは、遺言によって財産を譲渡することをいいます(民法第964条)。
したがって、原則として、被相続人の死亡と同時に効力が発生します。
遺贈には、「包括遺贈」と「特定遺贈」があります。
また、負担を付ける遺贈もすることがでます

■包括遺贈
財産(マイナス財産含む)の全部または一定の割合を譲渡すること。
具体例:「Aに全財産を遺贈する」とか、「Aに遺産の4分の1を遺贈する」

 

包括受遺者は、「相続人と同一の権利義務を有する」とされています。
包括受遺者は、相続人と同様に、自己のために相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続の承認又は
放棄の申述を家庭裁判所にしなればなりません。


■特定遺贈
特定の財産を譲渡すること。
具体例:「甲土地をAに遺贈する」
特定遺贈の場合の受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄をすることができます。
特定遺贈の放棄は、遺言執行者又は相続人に対する配達証明付内容証明郵便等によって行います。
家庭裁判所への申述は不要です。

■負担付遺贈
「Aに甲土地を遺贈する代わりに、Aは遺言者の妻Bに対し、その生活費として、毎月○○万円を支払う」というように受遺者に一定の義務を負わせる遺言のことです。
 
受遺者は、遺贈の目的の価格を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する義務を負います。
受遺者が負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内が履行されないときは、家庭裁判所に遺言の取消を請求することができます。

※条件付、期限付の遺贈もすることができます。
 
[死因贈与]
死因贈与は、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与です。
したがって、性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用されます。
しかし、贈与者と受贈者との契約によって成立する点が、遺贈とは異なります。

[遺贈と死因贈与の相違点]
・遺贈は撤回が自由だが、死因贈与は撤回が制限される場合がある。
・死因贈与は一般的な契約書を作成すれば良いが、遺贈は遺言の作成方法に関する規定に従って作成しなければならない。
・相続人対する遺贈は不動産取得税がかからないが、死因贈与はかかる。

遺言執行者とは?

遺言執行者とは、相続人の代理人として、遺言書に書かれている内容を実現する人のことです。
遺言執行者は、遺言による指定又は利害関係人の申立によって家庭裁判所が選任します。
遺言執行者は、相続財産の管理その他執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。
例えば、

・預貯金の解約
・「遺贈」を原因とする不動産の名義変更登記
・相続不動産の売却
などの手続きを行います。

★遺言執行者になれない人
①未成年者
②破産者
したがって、相続人や親族なども遺言執行者になることができます。

[遺言執行者を選任するメリット]
①遺言内容を確実に実現できます。
他の相続人が勝手に財産を処分したり、手続を妨害するような行為を阻止できます。
仮に、相続人が無断で相続財産を処分しても、その処分行為は無効になります。
 
②遺言執行者が。、遺言内容を単独で実現する権限を有しておりますので、スムーズにに手続が進みます。
例えば、「遺贈」を原因とする不動産の名義変更登記をする場合や預貯金を解約する場合、遺言執行者が
いないと、相続人全員に実印を押してもらわないと手続きができません。
しかし、遺言執行者が選任されていれば、これらの手続きについて相続人が関与することなく手続きを進め
ることができます。  

遺言の撤回方法は?

遺言書を作成しても、期間が経過すれば、遺言者の意思が変わることもあります。
そういう場合、遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法第1022条)。
また、撤回する権利は、放棄することができません。

なお、下記のような場合、遺言は撤回されたものとみなされます。
①前の遺言と抵触する新たな遺言を作成した場合⇒抵触する部分
②遺言に抵触する生前処分などがされた場合⇒抵触する部分
②遺言に抵触する生前処分などがされた場合⇒抵触する部分
③遺言者が故意に遺言書を破棄した場合⇒破棄した部分
④遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄した場合⇒破棄した部分

遺留分とは

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合のことをいいます。
したがって、遺留分に反する遺言などは、遺留分を有する相続人の「遺留分減殺請求」によって効力を失います。
逆に言うと、「遺留分減殺請求」がされるまでは、遺留分に反する遺言も有効だということになります(最高裁昭和25年4月28日判決)。

[遺留分]
■相続人が配偶者と直系卑属(子供など)のケース
配偶者  4分の1
子供    4分の1

■相続人が配偶者と直系尊属(父母など)のケース
配偶者  6分の2
父母    6分の1

※兄弟姉妹には、遺留分はありません。

遺留分減殺請求できる期間は?

遺留分減殺請求権は、遺留分を有する相続人が、相続の開始及び減殺できる贈与又は遺贈があったことを 知った時から1年間行使しない時は、時効によって消滅します。
また、相続開始の時から10年間を経過したときも行使できなくなります。

遺留分減殺請求の方法は?

遺留分減殺請求は、通常、配達証明付内容証明で行います。
理由としては、遺留分減殺請求を行使期間内に適法に行ったことを証拠として残すためです。
遺留分減殺請求後、遺留分を侵害している相続人が、侵害している財産を返還してくれない場合に
は、家庭裁判所に調停や審判の申立てを行うことになります。

遺留分は、放棄できますか?

遺留分は、相続開始後、いつでも放棄することができます(民法第1043条)。

相続開始前は、家庭裁判所の許可を得て、放棄することができます。
遺留分放棄の要件は、下記のとおりです。

①放棄が本人の自由な意思にもとづくものであること。
②放棄の理由に合理性と必要性があること。
③代償性があるかどうか(生前に相続分に見合った現金を贈与しているなど)

遺留分を放棄しても、他の相
続人の遺留分は増加しません。

なお、相続放棄は、相続開始前にすることはできません。


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